こんにちは。【ADHD夫を支える妻】はっさくです。
夫のADHDと向き合う中で、長年私が意識していたことがあります。
それは、「夫の自尊心を傷つけず、苦手だけをいかに手放してもらうか」ということ。
ここには、大人の発達障害と向き合う大きなヒントが隠されています。
夫が「最大の苦手」を手放した日
先日、ADHDの夫が「最大の苦手=金銭管理の権限」を自ら手放す決断をしました。自分が使っていた電子マネーなどは全て廃止し、通帳やキャッシュカード、印鑑なども、全て妻が管理することになりました。
きっかけは、夫の「衝動性」についての告白でした。
※詳しくはこちら↓
gray-zone-family.hatenablog.com
自分の衝動性が怖くてたまらない。こんな衝動的な人間がお金を持ってはいけない
夫は泣きながら、そんな告白をしてくれました。
結婚してからというもの、夫のADHDによる金銭トラブルが絶えなかった我が家。
※借金の話はこちら↓
gray-zone-family.hatenablog.com
夫の行いは私をひどく傷つけたし、夫を心底信じられなくなった日もありました。
それでも私は、夫が自分の苦手を自ら手放す決断をした、その勇気に拍手を送りたい!
ようやくゼロ地点。ここから心機一転、崩れてしまった家計や夫婦関係の立て直しが本格化しそうな予感・・・!
苦手を手放すことは、ときに自尊心を大きく傷つける
大人の発達障害当事者の抱える苦手は、ときにものすごく残酷です。
大人の苦手は子どものそれとは違います。大人の抱える苦手は、単なる「苦手」で済まされず、一歩間違えば社会的信用を大きく失いかねないものになります(夫の金銭トラブルはまさにその典型です)。
自我形成が十分なされた大人になってもなお、それだけの「苦手=コンプレックス」を自覚しながら生きていくことは、大きな苦しみを伴います。
夫はよくこんな言葉をこぼしています。
いい大人がこんなこともできないなんて・・・
この言葉には、大人の発達障害の苦しみが全て表われています。
かといって、苦手をすぐに手放せば楽になるわけではありません。
自分の苦手を手放すことは、とても勇気のいることです。なぜならそれは、「できない自分を受け入れる」ことに等しいからです。
人並みにできる自分に憧れて、できない自分が認められなくて、がむしゃらに頑張り続けてしまう。それでも失敗続きで、そんな自分が信じられなくて・・・
大人の発達障害当事者が苦手に向き合い続けることは、ときに自尊心を大きく傷つけます。
しかし、苦手を手放すこと(=できない自分を受け入れること)もまた、自尊心を大きく傷つけるものなのだと、夫を見ていて強く感じました。
※「大人の発達障害の受容」の難しさについて、詳しくはこちら↓
gray-zone-family.hatenablog.com
自尊心を傷つけず、苦手だけを手放してもらう
夫の頑張りを応援したい気持ちと裏腹に、私にはこんな葛藤がありました。
夫が苦手に向き合い続けることで、お金のトラブルがこれ以上大きくなるのは困る!
また、夫が苦手に向き合い続けることで、夫が傷つく姿は目に見えていました。
これ以上夫が傷つく姿を見るのはつらい・・・
いっそ私が夫の苦手を強制的に取り上げてしまったら・・・と何度も思いました。
でも、夫はまだまだ頑張りたいといっているし、夫婦間で相手の苦手を強制的に取り上げてしまう(つまり、夫に私が「できない」という烙印を押してしまう)ことで、対等な夫婦関係ではなくなってしまう気がして・・・
夫の自尊心を傷つけず、苦手だけを手放してもらうにはどうしたらいいんだろう・・・
葛藤は続きましたが、最終的に私の出した結論はこうです。
夫を信じよう。彼の自発性に任せてみよう
金銭トラブルに関しては、将来的には夫が手放してくれることがベスト。でも、夫から権限を無理に奪い取ることはせず、夫が自分から手放したいと思ったタイミングで、手放してもらうのが一番だと考えたのです。
夫が「もう無理!頑張れない」と自分で思ったときに、「この人なら頼りたい」と思える妻になる
心に何重にも扉のある夫が、私に対して「いい格好」せず、あらゆる苦手を開示できるようになること。そのために、まずは私が変わること。
このことが、いつしか私の目標となりました。
心が軽くなった
夫が苦手を手放してから数週間。
昨日ポロッと、夫の口からこんな言葉を聞くことができました。
お金のことを手放したら、「もう頑張らなくていいや」って、なんかすごい心が軽くなったよ☆ありがとう!
嬉しい!私もこの日を待っていたのです。
まとめ
今日は、大人の発達障害と向き合う大きなヒントについて、夫のADHDと向き合う私の例からお話ししました。
自尊心を傷つけず、苦手だけを手放してもらう
大人の発達障害当事者の抱える苦手は、子どものそれとは違い、一歩間違えば社会的信用を大きく失いかねないものになります。
大人の発達障害当事者が苦手に向き合い続けることは、自尊心を大きく傷つけますが、苦手を手放すこと(=できない自分を受け入れること)もまた、自尊心を大きく傷つけるものです。
苦手に向き合うことで負う傷と、それを手放すことで負う傷。
問題の大きさにもよりけりですが(依存症など、健康上の問題や生死の関わる問題の場合もありますからね)、どちらを選択するのかは、できる限り本人の意思に委ねられるといいですね。
(^^)/