こんにちは。【ADHD夫を支える妻】はっさくです。
私の夫は発達障害グレーゾーン。
ADHD(注意欠陥多動性障害)の傾向が強く、日常生活における不注意や衝動性に悩む、いわゆる「大人の発達障害」の当事者です。
今回はADHDの永遠のテーマである「先延ばし癖(怠け癖)」について考えてみます。
ADHDの人の先延ばし癖は、端から見れば「怠けている」と感じることがあります。
しかし夫の姿を観察していると、「先延ばし癖=怠けている」とは必ずしもいえない、ということがわかってきました。
- 繰り返される夫の先延ばし癖
- タスク処理のムラが先延ばし癖を引き起こす
- 脳疲労からくるもの・精神的な抵抗感からくるもの
- 「先延ばし」にしたことを忘れてしまう
- 先延ばし癖(怠け癖)がメンタルに与える影響
- 先延ばし癖と上手に付き合うには
- まとめ
繰り返される夫の先延ばし癖
ADHDの夫には、やるべき課題を先延ばしにする癖=「先延ばし癖(怠け癖)」があります。
金銭的な手続きなど、苦手なことに対してはそれが特に顕著(^0^;)
そのせいもあって、お金に関しては何度も痛い目にあっています。
夫に限らず、こうした先延ばし癖はADHDの人によく見られます。
「夏休みの宿題をギリギリまでやらず前日に焦る」というヤツです。
そのせいで周囲から「怠けている」と見られてしまうことも。
私自身、夫のADHDが判明していなかった頃、彼のことをそのような目で見てしまっていたし、実際に「何でもっと早くやらないの?」「やればできるでしょ」など心ない言葉をかけてしまったこともあります。
現実問題、大人の世界の先延ばし癖は子ども時代の「宿題をなかなかやらない」レベルでは済まされません。
下手すると社会的信用を失いかねない問題です。
夫はそのせいで前職を失いました(このことについては、心の傷が癒えてからゆっくりブログに書こうと思います^^;)。
だから夫の先延ばし癖がでると、こちらもつい語気が強まってしまうのです。
真面目な性格の夫はミスをしたら落ち込むし反省もします。
それでもなお繰り返される先延ばし癖は、表面的には「怠けている」「課題から逃げている」と見えてしまいます。
しかし夫のいい分はこう。
『先延ばし癖=怠けている』って簡単に決めつけないで!
へ~そうなの??もう少し詳しく知りたいなぁ。
ということで、ADHDの夫から先延ばし癖の背景について詳しく教えてもらいました。
(※これは夫のケースであり、ADHDの人全てに当てはまるわけではありません。あくまでご参考までに^^)
タスク処理のムラが先延ばし癖を引き起こす
夫はタスク処理のスピードにムラがあります。
調子のいいときはすごく仕事ができるため、周りから高く評価されます。
一方、調子の悪いときはタスク処理のスピードが落ちミスも増えます。
こういうしんどいときにこそ先延ばし癖が発動するそうです。
夫の言葉を借りると「ダメなのはわかるけど先延ばしにしないとやっていけない」とのこと。
ADHDの夫の脳はとても疲れやすく、睡眠時間や体調によってさくさく動くときとそうでないときがあります。
また夫はよく「周囲の情報が脳に入ってきすぎて疲れる」といっていますが、視覚や聴覚が敏感なため、雑音や景色などの周辺環境にも脳が大きく左右されてしまいます。
情報の取捨選択ができず多くの情報が入ってきてしまうことで脳が疲れやすいのです。
そんなときに自分を守る必殺技が先延ばし癖!
なんでも、課題に取り組む前から意図的に「これは先延ばしにしよう」と決めているときもあれば、課題に取り組んでみて「今日はやっぱ無理・・・先延ばし癖緊急発動!」となるときもあるらしいです(^0^;)
こうしたADHDならではの葛藤は周囲にはなかなか伝わりにくいもの。
「前回はちゃんとできていたのになぜ」「やればできるのに」「怠けている」などと思われ、悔しい思いをするのだそうです。
脳疲労からくるもの・精神的な抵抗感からくるもの
先述した先延ばし癖は脳疲労からくるものです。
たしかにADHDの人は脳が疲れやすくタスク処理のスピードに波があります。
しかし夫の先延ばし癖の背景には、こうした脳疲労によるものだけでなく、精神的な抵抗感からくるものもあるそうです。
ADHDの人はうっかりミスをよくします。
例えば夫はお金の手続きが苦手で、必ずといっていいほどミスをしてしまいます。
ある特定の作業でこうしたミスを繰り返すうちに、「次もまたミスをしてしまうんではないか?」という恐怖心が生まれます。
それがその作業へ向かう精神的なハードルを上げてしまい、結果的に先延ばし癖が発動してしまうのです。
ADHDの夫は定型の人よりうっかりミスが多い分、日常生活の中でこうした精神的ハードルを感じる場面も増えてしまうのだと思います。
「先延ばし」にしたことを忘れてしまう
夫いわく最も厄介なのは、先延ばし癖と「忘れっぽさ」が同時に発動するケース。
「今日は疲れてるから」「今はしんどすぎて向かえないから」と課題を先延ばしにした後、「課題を先延ばしにしたという事実」、さらには「課題の存在そのもの」を忘れてしまうことがあるのです。
例えばお金の手続きが苦手な夫に、家賃や光熱費など月々の請求が一度にきます。
逃げ出したい気持ちを抑えてがんばってATMに行きます。
しかし途中でパニックになり「今日はとりあえず家賃だけにしよう(;´Д`)」と苦渋の決断をします。
ところが数日後、このようなことになるのです。
この前がんばってATMに行ったけど・・・手続きは全部完了したんだっけ?・・・そもそも何の手続きをしにいったんだっけ?・・・ううう、思い出せない・・・後で確認しよう・・・(放置)
そのとき自分はどんな課題を抱えていたのか。
何を先延ばしにして、何を完了させたのか。
一生懸命課題に向き合おうとしたにもかかわらず、パニックになるとこうした記憶がすごく曖昧になってしまうそうです。
このようにして、本人の自覚がないまま「課題と向き合わず放置している状態」「怠けている状態」ができあがるのです。
こうしたADHDの葛藤や苦しみは周囲にはなかなか理解してもらえません。
先延ばし癖(怠け癖)がメンタルに与える影響
夫いわく、先延ばし癖がメンタルに与える影響は多大。
繰り返すうちに自尊心が下がってしまうといいます。
①苦手に拍車がかかる
苦手に向き合うことはとてもエネルギーのいることです。
苦手なことほど先延ばし癖が発動しやすいのですが、先延ばしにし過ぎると苦手に拍車がかかります。
苦手なことがとことん苦手になってしまうので、結果として先延ばし癖もひどく出てしまう・・・まさに悪循環(°°;)
②自分に自信が持てなくなる
たとえ本人が「自分を守るために課題を先延ばしにするしかなかった」としても、周囲から「だらしない」「怠けている」といわれ続けると、「自分はADHDをいいわけに怠けているのかも」と思ってしまうことも。
夫の場合「ADHDであることそのもの」にもともと強い劣等感を感じており、周囲からのプレッシャーでそれが加速するそうです。
また「課題を先延ばしにしたという事実」や「課題の存在そのものを忘れる」という経験を重ねることで、自分をどんどん信用できなくなるといいます。
先延ばし癖と上手に付き合うには
先延ばし癖を完全に克服するのはとてもしんどいこと(°°;)
だから最近は、自分の特性を理解した上で「先延ばし癖と上手に付き合う」方法はないかなぁと考えています。
①先延ばし癖=心身のSOS
最近私は、夫の先延ばし癖を「心身のSOS」だと思うようにしています。
夫の場合、「しんどいなー」と思いながらお金の手続きをすると、必ずといっていいほどミスが起こります。
そういうときは、自分の心身を守るために先延ばし癖を発動させてもいいと私は思います。
心身の調子がいいときに自分のペースでゆっくり課題に向き合うことが、自信をつける近道だと思います。
実際、日を置いて同じ課題に向き合うとコロッとできてしまうことがあります!
だから私は、夫の先延ばし癖が発動しても「疲れてるんだなー」と目をつぶり、夫が元気になるのを待つよう心がけています(現在修行中!(^0^;))
②先延ばしにした課題をいかに回収するか
先延ばし癖を発動させたとしても、最終的に帳尻が合えば問題ありません。
大切なのは、先延ばしにした課題をいかに回収するかということ!
先延ばし癖を発動させた後に「先延ばしにしたという事実」を忘れないように気を付けましょう。
具体的には、
- 期限を決めること
- リマインドをしっかり行うこと
などが大切です。
③思い切って課題を手放す
その課題と向き合うことが本当にしんどい場合は、思い切って「課題を手放す」こともありだと思います。
- 「それは本当に自分がやるべき課題なのか」
- 「他に解決する手段はないのか」
一度立ち止まって考えてみましょう。
仕事では難しいかもしれませんが、夫のようにお金の手続きが苦手であったり、掃除が苦手であったり、日常生活で苦手を抱えている方は、パートナーをはじめ、信頼できる人に丸投げしてしまってもいいと思います。
発達障害の人が苦手なことやしんどいことに向き合いすぎると、鬱などの二次障害を併発してしまうこともあります。
ADHDの人は、苦手に向き合うことはほどほどに、人の手を借りるなどして自分を大切にしてほしいです。
まとめ
今日は、ADHDの先延ばし癖についてあれこれ考えてみました★
ADHD夫を支える妻の修行はまだまだ続きます!(^^)!