グレーゾーンなわたしたち

【ADHD夫を支える妻】はっさくのブログ。発達障害、HSP、メンタルトレーニング、教育に関するあれこれを発信中!

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【発達障害】「助けて」と言いづらいのはなぜ?

こんにちは。【ADHD夫を支える妻】はっさくです。

私の夫は発達障害グレーゾーン。

ADHD(注意欠陥多動性障害)の傾向が強く、日常生活における不注意や衝動性に悩む、いわゆる「大人の発達障害」の当事者です。

発達障害のある人が自分らしく生きるためには、困ったときに人にうまく頼るスキルが必要となってきます。

しかし夫はこんなことをよく言います↓

「助けて」ってなかなか人に言いづらい・・・

今日は発達障害のある人が「助けて」と言いづらい理由について、夫とのやり取りをもとに考えます。

 

財布を落とした夫

先日、夫が財布を落としました。

そこにはカードと1週間分の生活費が入っていました。

夫にはADHDの特性があり、金銭管理が苦手なため、金銭管理はほぼ私が行っています。

この日はたまたま旅行帰りということで、夫にカード類や現金を一瞬だけ持たせたのがいけなかった・・・!

はっさく

私も疲れて気が回っておらず反省・・・

※幸い財布は落とし物センターに届けられていました。

夫にかけた言葉

実は夫が財布を落としたのは初めてではありません。

というか、財布を落とすのはまだ可愛い方で・・・夫はこれまで数え切れないほどの金銭トラブルを起こしてきました。

振込先を間違えたり、期限が過ぎてしまったり、使いすぎてしまったり・・・

いや〜うっかり

始まりはほんの些細なミスです。

しかし夫は小さなミスが起きたとき、そのことを必死に隠そうとしたり、1人で全て抱え込んだりします。

そのせいで、気づいたときには大変な事態に陥っているのです。

はっさく

もっと早く言ってくれよマジで!

今回も財布を落とすというピンチにも関わらず、夫は焦って右往左往するだけ。

自分で何とかするから!(と言って全然動かない)

もどかしく感じた私はこう伝えました。

はっさく

そうやって頭ぐちゃぐちゃの状態で1人で何とかしようとするから大変になるんだよ。困ってるなら1人で抱え込まず、もっと私を頼ってくれればいいのに。

「助けて」が言えない夫

しかし、夫からはこんな返答が返ってきました。

何というか・・・頼ったら悪いかなって思っちゃうんだよね。

夫は人を頼ることが苦手です。

パニック状態で誰かの手を借りなければならない状況においても、1人で問題を抱え込みがちなのです。

ミスをしたのは自分だ。

迷惑をかけてはいけない。

自分で何とかしなければ。

ミスのたびに何度も助けを求めることへの屈辱や後ろめたさもあるかと思います。

夫を見ていて感じるのは、発達障害当事者の「助けて」の前にはいくつもの高いハードルが存在するということです。

当事者が「助けて」と言いづらいのはなぜ?

発達障害のある人が「助けて」と言いづらいのはなぜでしょうか。

夫とのやりとりの中から見えてきたのは、以下のような理由です。

発達障害当事者が「助けて」と言いづらい理由
  1. 「できない自分」を受け入れられない
  2. 苦手をうまく言語化できない
  3. 「傷つく恐怖」と隣り合わせ
  4. そもそも人を信用できない

⒈「できない自分」を受け入れられない

人に頼るということは、「できない自分」をさらけ出すということです。

そのためにはまず、「できない自分」を自分自身が理解し受け入れている必要があります。

ところが・・・

大の大人がこんなことすらできないなんて。

ポンコツの自分が許せない。

死んでしまえばいいのに。

これまで私は、トゲのある言葉で自分を責める夫の姿を何度も見てきました。

発達障害の自分を受け入れることは、当事者にとって相当な苦しみを伴う作業です。

また、セルフイメージ(理想)と現実のギャップが大きい人ほど、障害受容は困難になります。

発達障害当事者のセルフイメージ(理想)と現実のギャップ

【発達障害】セルフイメージと現実のギャップが大きいほど辛い

「できない自分」をまず自分自身が受け入れる。

このハードルを乗り越えてこその「助けて」なのだと、夫を見ていて感じます。

2.苦手をうまく言語化できない

発達障害のある人が周囲に助けを求めるためには、自分の苦手を客観的に理解して、相手にわかりやすく伝える必要があります。

また適切に支援してもらうためには、ただ「○○が苦手」と伝えるだけではなく、「相手にどうしてほしいのか(どんな支援が必要なのか)」まで正確に言葉にする必要があります。

これらのことは、コミュニケーションに凸凹を抱える当事者にとって高いハードルとなります。

夫の場合、助けを求めるときに言葉が足りず、事の重大さや切迫感がイマイチこちらに伝わらず、、、事態の全貌が見えたときには、

はっさく

思ってたより崖っぷちの状況やないかーいっ!(白目)

とツッコミたくなることが多々あります。

3.「傷つく恐怖」と隣り合わせ

発達障害のある人が周囲に助けを求めることは「傷つく恐怖」と常に隣り合わせです。

自分の弱みを人にさらけ出すことはとても勇気がいることで、その分理解されなかったときのショックは大きいものです。

「こんなこともできないの?」

「〇〇さんらしくない」

「努力が足りない」

夫は以前、職場でADHDをカミングアウトしたことがあります。

しかし周囲の理解を得ることはできず、そこで働き続けることが難しくなってしまいました。

勇気を出して打ち明けたのに・・・

当事者がどれだけ言葉を尽くしても、理解してもらえるとは限りません。

発達障害への無知や偏見が存在する限り、発達障害当事者の「助けて」は「傷つく恐怖」と常に隣り合わせです。

4.そもそも人を信用できない

周囲に助けを求めるという行為は、相手を信用するところから始まります。

しかし夫はこうです↓

そもそも俺は人を信用してない。人を信用するだけ無駄だと思って生きてきた。

大切な相手を信用しきれず心を閉ざしてしまうこと。

できない自分をひた隠しにすること。

そこには幼少期の愛着形成の問題や、社会生活で傷ついた経験、自己肯定感の低さなどがあると考えています。

「助けてもらってよかった!」そんな成功体験を幼少期にたくさん積んでいたら違ったのかもな・・・

とりわけ発達障害と愛着形成の問題には深い関係があると言われています。

親子関係をはじめ、生育歴の中でできた心の傷に今もなお苦しみ続ける当事者は夫だけではないと考えています。

※大人の発達障害と愛着問題↓

まとめ

今日は、今日は発達障害のある人が「助けて」と言いづらい理由について考えてみました。

◆まとめ◆

発達障害のある人が「助けて」と言いづらい理由

  1. 「できない自分」を受け入れられない
  2. 苦手をうまく言語化できない
  3. 「傷つく恐怖」と隣り合わせ
  4. そもそも人を信用できない

ここに挙げたのはほんの一例にすぎません。

発達障害のある人が人に助けを求めることは決して簡単なことではありません。

それでも私は「弱みをさらけ出すことで得られるものがる」と考えています。

発達障害に悩む人が誰かに頼ることは、よりよく生きるための当然の権利-そんな考え方が世間に広まってほしいです。

夫との関係で言えば、夫からの「助けて」を待つのではなく、困っている夫にこちらから積極的に手を差し伸べるくらいの余裕を持ちたいものです。

 

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