グレーゾーンなわたしたち

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ADHDと完璧主義、かけ合わさるとどうなる?

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こんにちは。【ADHD夫を支える妻】はっさくです。

私の夫は発達障害グレーゾーン。

ADHD(注意欠陥多動性障害)の傾向が強く、日常生活における不注意や衝動性に悩む、いわゆる「大人の発達障害」の当事者です。

夫はお金の手続きが苦手で、これまで夫婦で様々な金銭トラブルに見舞われています。

一見だらしのないように見える夫。

しかし本人は、実は超がつくほどの完璧主義者で・・・これがまた厄介だったりします(;´Д`)

今日は、夫の例をもとに【ADHDと完璧主義がかけ合わさるとどうなるか】を考察します。

※過去記事を大幅にリライトしました☆

 

1.ADHDだけど完璧主義?

一般的な「ADHD」のイメージは、衝動的、落ち着きがない、飽きっぽい、ミスが多い、苦手を先延ばす・・・など。

ADHDのこうした特性は、ドラえもんの「のび太(=怠惰なイメージ?)」に例えられることがあります。

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夫ものび太のように「先延ばし癖」が甚だしい

しかしこれは、ADHDに対する一種のステレオタイプだと感じています。

なぜなら世の中には、ADHDの特性がありながらも、超がつくほど完璧主義な人がいるからです。

例えば私の夫がそうです。

夫はADHDですが、ある局面ではとても強いこだわりを持っています。

また両親との間にある深い闇や愛着の問題も複雑に絡み・・・夫は自らを「ADHDかつ自分にめちゃくちゃ厳しい超完璧主義人間」だと言います。

夫をはじめ、「ADHDかつ完璧主義な人」の心は、いわば「のび太」と「出来杉」が両方存在している「ちぐはぐ状態」なのです。

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完璧にやりたい!でもなぜかうまくいかない・・・

2.ADHDと完璧主義、かけ合わさるとどうなる?

ADHDと完璧主義がかけ合わさるとどうなるのか。

夫の例を踏まえ、「ADHDかつ完璧主義な人」が陥りやすいケースを紹介します。

2-1.セルフイメージと現実のギャップに苦しむ

ADHDの人は能力の凸凹差が大きく、ものすごく器用な面と不器用な面を併せ持っている場合があります。

ここに完璧主義が重なると大変です。

セルフイメージ(できる自分)と現実(できない自分)のギャップが大きくなりすぎてしまうのです。

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いけると思ったのに・・・なんか思ってたんと違う!

例えば夫の場合、WAISの結果で見る凸凹差はなんと40近く。

「頭の回転は超高速なのにもかかわらず、手元の処理速度が追いつかない」

この凸凹がケアレスミスの原因であると医師から指摘されています。

セルフイメージと現実のギャップが、夫をはじめ多くの「ADHDかつ完璧主義な人」の心を苦しめています。

※詳しくはこちら↓

2-2.失敗を認められない

ADHDであっても「まあいいか精神」がある人は、ある意味「世渡り上手」です。

苦手を避けたり、人に頼ったりなどして、のらりくらりとやっていけることでしょう。

しかし、「ADHDかつ完璧主義な人」の場合、失敗後の切り替えができず、必要以上に自分を責めたり落ち込んだりします。

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失敗をする自分なんて認められない!俺はまだやれるはず

また、失敗やできないことを「恥ずかしい」と感じている場合は、人に頼ることができず1人で問題を抱え込むことになります。

夫の場合、借金を始めとする金銭トラブルが深刻化したときは、まさにそのような状態でした。

2-3.白黒思考が自尊心の低下を加速させる

ADHDに限らず、発達障害のある人は「認知の歪み」が大きいといわれています。

認知の歪みとは、ある出来事に対して、事実とは歪んだ極端な捉え方をしてしまうことです。

※詳しくはこちら↓

認知の歪みのひとつに「白黒思考(完璧主義思考)」というものがあります。

これは「ADHDかつ完璧主義な人」が陥りやすい思考です。

これに陥ると、自己評価が「完全にできた(100点)」「全くできなかった(0点)」の両極端になります。

例えば夫の「三日坊主」について。

理想が高くて初心を貫徹できないことが「三日坊主」を生むのですが、ここに白黒思考が重なるとこうなります。

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途中で諦めた=達成できなかった=失敗だ!(0点)

このような白黒思考こそが、自尊心の低下を加速させます。

2-4.二次障害に陥る

「ADHDで完璧主義な人」の中には、発達障害の二次障害(うつ、適応障害など)に苦しむ人が多いといわれています。

セルフイメージと現実のギャップに苦しみ、自尊心が低下し続けた結果、メンタルを病んでしまうのです。

ミスをする自分が許せず、どんどん自分が嫌になる・・・

ただでさえメンタルがボロボロになっているところに、周囲からミスを指摘されたり、ひどい言葉を投げかけられたりなどする・・・

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こうしてメンタル不調はより深刻化する

クローズ就労で働いている人は特に、職場に発達障害への理解のある人が少なく、特性によるミスを必要以上に責められてしまうこともあるでしょう。

実は夫も、うつの波を何度か繰り返しています。

夫はミスをする自分が大嫌いで、ミスをするたびに必要以上に自分を責め続け、酷いときは「どん底」まで落ちて死にたくなることがあるといいます。

3.対策

ここからは、「ADHDかつ完璧主義な人」が少しでも生きやすくなるための対策を紹介します。

3-1.セルフイメージと現実のギャップを埋める

先ほど述べたように、「ADHDかつ完璧主義な人」は理想が高く、セルフイメージと現実のギャップが大きくなる場合があります。

生きづらさを軽減させるためにも、まずはセルフイメージと現実のギャップを埋める作業が必要です。

ポイントは「正しい自己理解」。

それは、「自分はどうせできない」「ダメなヤツだ」と悲観的になることではありません。

例えば、「自分は○○は得意だけど、××をするには人一倍時間がかかる」「こういう場面では失敗しやすいな」など、等身大の自分を知ることです。

特性と共に、自分の得意と苦手を正しく把握しましょう。

3-2自分に合ったゴールを定める

自己理解が進んだ次は、自分の中の「普通はこう」「これくらいならできるはず」という思い込みを一度見直してみましょう。

「ADHDかつ完璧主義の人」はゴールまでのハードルを上げすぎる傾向にあります。
すると、できなかった自分に対する劣等感が強まります。

そうならないために、自分に合う余裕を持ったゴールを定めることが大切です。

「普通」にとらわれることなく、自分に合ったゴールに向かって小さな「できる」を積み重ねること。

それこそが自尊心を保つコツです。

3-3.自分を正しく評価する

自分に合ったゴールを定めることができたら、自分を正しく評価してみましょう。

「ADHDかつ完璧主義の人」は、認知の歪みによって白黒思考に陥りやすく、自己評価が極端に低い場合があります。

「失敗したから全てダメ」とならず、「ここまではできた」を積み重ねること。

これまで取り組んできた「過程」を正しく評価することが、自己肯定感に繋がります。

※「自信」の積み重ね方にはコツがある

3-4.思い切って人を頼る

「ADHDかつ完璧主義の人」は、「失敗=恥ずかしいこと」という意識が強く、人に頼ることが苦手な場合があります。

しかし、ADHDの人には、特性上「頑張りたくても頑張れないこと」や、「努力ではどうしようもない苦手」を抱えていることもあります。

夫の場合、社会人になってから金銭トラブル続きでしたが、「自分はお金の手続きが苦手なんだ」と正しく自己理解をするようになって、少し変化がありました。

最近では、妻である私を適度に頼るようになったのです。

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苦手に必要以上に向き合うことがなくなり、気持ちがとても楽になったよ

発達障害の特性がある人にとって、「頼ること」は自分を守るための大事なライフハックです。

※プライドの高い夫に「頼られる妻」になるためのライフハック↓

4.まとめ

今日は、【ADHDと完璧主義がかけ合わさるとどうなるか】について考察しました。

◆まとめ◆

「ADHDかつ完璧主義な人」

=「のび太」と「出来杉」が両方存在している「ちぐはぐ状態」

<陥りやすいパターン>

  1. セルフイメージと現実のギャップに苦しむ
  2. 失敗を認められない
  3. 白黒思考が自尊心の低下を加速させる
  4. 二次障害に陥る

<対策>

  1. セルフイメージと現実を埋める
  2. 自分に合ったゴールを定める
  3. 自分を正しく評価する
  4. 思い切って人を頼る

記事で紹介した対策は、夫のADHDと向き合ってきた私の経験から出たほんの一例に過ぎません。

それぞれが自分に合った対策を見つけて、皆さんが少しでも生きやすくなることを願っています。

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