こんにちは。【ADHD夫を支える妻】はっさくです。
今日は、ADHDが「発達障害」ではなかった時代の話をします。
ADHDは「障害」どころか、歴史的にみればかなりの長い期間「恩恵」だったのです。
1.ADHDは歴史的に見れば恩恵だった?!
注意散漫、衝動性、多動性・・・そんなADHD特性は、現代社会でこそ「発達障害」と呼ばれます。
ADHD特性そのものは、人類の歴史と共にあります。
こんなにも「厄介な」ものが、なぜずっと淘汰されずに残っているのでしょうか。
実は、ADHD特性は歴史的にみれば恩恵だったということが、科学的にも明らかになっています。
<参考>アンダース・ハンセン「一流の頭脳」2018、サンマーク出版(P129)
2.ADHDの持つ遺伝子の謎
ADHDを引き起こす唯一の遺伝子というものはありません。
しかし、ADHDと関連性の高い遺伝子というのは存在します。
ADHDと最も関連性が高いといわれているのが「ADHD遺伝的多様体」というもの*1。
これは集中力の機能に欠かせない「DRD4」という遺伝子の一種です。
この遺伝子自体は誰もが持っていますが、そのバリエーションのひとつがADHDの人に共通してみられるといいます。
面白いことに、ADHDの人以外にも「ADHD遺伝的多様体」を持っている人がいます。
それは、現代でも遊牧生活や狩猟採集生活を行っている人々です。
ケニア北部の砂漠で暮らすのアリアール族の中には、「ADHD遺伝的多様体」を持つ人が多数います。
さらに、「ADHD遺伝的多様体」を持っている遊牧民のほうが、持っていない遊牧民よりも栄養状態がいいということがわかっています。
ここからいえることはひとつ。
衝動性や多動性は、迅速な決断が必要な環境で暮らす狩猟民や遊牧民にとっては有利に働くということ!
狩猟採取生活を営んでいた太古の人類にとって、ADHDは相当な恩恵だったといえます。
ADHD特性は、人類の長い歴史の中では、「障害」ではなく恩恵だった期間の方が長いといえます。
<参考>アンダース・ハンセン「一流の頭脳」2018、サンマーク出版(P126-P128)
3.まとめ
今日は、ADHDの持つ遺伝子の話をしました。
現代社会では「障害」となりうるADHD特性ですが、歴史的にみれば、その特性はかなりの恩恵でした。
ひとつの遺伝子が、置かれる環境によって有利にも不利にもなる。
ここに、ADHDの衝動性や多動性を生かすヒントが隠されています。
※ADHDの集中力を高めるヒントは、ADHDが恩恵だった「あの時代」にある?!
*1:ハンセン氏は、「ADHDは単一の遺伝子によって起きているわけではない」とした上で、この遺伝子を他と区別するためにあえてそう呼んでいます(アンダース・ハンセン「一流の頭脳」2018、サンマーク出版(P127))。