こんにちは。【ADHD夫を支える妻】はっさくです。
今日のテーマは「逃避」。
逃避には、「困難から目を背けて逃げ隠れる」といった意味があります。
物事から逃げ隠れるなんて卑怯だ!
現実から目を背けるな!
逃避には、いつの時代にもネガティブなイメージがつきまといます。
先日、そんな逃避のイメージを覆す素敵な本と出会いました。
山口路子著『逃避の名言集~特に深刻な事情があるわけではないけれど私にはどうしても逃避が必要なのです』大和書房(2020)
HSPさんをはじめ、強い感受性がゆえに生きづらい人、それでも毎日必死に生きている人、「孤独で、かなしくて、絶望しやすい人」・・・
そんなあなたが人生に息切れしそうなときに、ふと手に取ってほしい1冊です。
逃避=精神の防衛能力
一般的にいわれる逃避にはよいイメージはありません。
しかし逃避は、本当にいけないことなのでしょうか。
私自身、HSP(人一倍敏感な人)の気質を持っていることもあり、毎日生きるのに必死です。
ただ生きているだけでどうしてこんなにも苦しいのだろう・・・そんなことを思う日もあります。
さらに、心が砕けそうなとき、どこからともなくこんな声が聞こえてくるのです。
「決して逃げてはいけない」
「どんな困難にも正面から立ち向かい乗り越えなければならない」
だから・・・
逃げたいのに、逃げられない。
そのことで、心身のバランスを欠いてしまったこともあります。
「逃避する自分を許すこと」
これは、真面目で不器用な私にとってはとても難しいことでした。
しかし最近ではこんなことを感じるようになりました。
「逃避を否定する自分自身の呪縛から解き放たれたい!」
そんなときに偶然であったのが、この『逃避の名言集』でした。
著者の山口さんは、逃避についてこう述べています。
人は、「逃避」という精神の防衛能力があるおかげで、決定的な精神の破綻から救われているのだ・・・(P15)
彼女は、逃避を肯定すると断言しています(P15)。
逃避は、ある人によっては「甘え」なのかもしれません。世の中には、逃避が必要ではない人もたしかに存在します。
しかし、強い感受性を持ち、ぎりぎりのところで必死に生きている人にとっては、逃避が「精神の防衛能力」として機能するのだといいます。
たいせつなものを前にして逃げるのではなく、たいせつなものをたいせつにするために、逃避するのです(207)。
彼女はまた、本書あとがきにおいて、逃避は「ひとつの生き抜く力」「生命力」(P197)であると述べています。
ここまで断言されると何だか爽快!フワッと心が軽くなるようです。
心にグッとくる!「逃避の名言」3選
本書は、著者自身が絶望感にうちひしがれ、人生に疲弊している時期に勇気づけられた言葉を、「逃避の名言」として集めたものです。
全部で73の言葉が載っており、どれも胸を打つものがありますが、その中で私が特にグッときた3つの言葉を紹介します。
1.「前向きに生きる」から逃げたいときの名言
「決して勝たないけれど、戦い続けていれば、負けないのです」
~坂口安吾『不良少年とキリスト』より(P28)
坂口安吾は著書の中でこういいました。
「人間は、決して、勝ちません、ただ、負けないのだ」
生きていると疲れるし、人間は決して勝てない。それでいいのです。
「生きる時間を、生きぬく」、そうすれば決して負けることはないのだから。
とても清々しい一言、「人生」のリアルを一言で表したような名文です。
2.「仕事」から逃げたいときの名言
「何もしないことは、最高の創造につながっているのです」
~メイ・サートン『独り居の日記』
何もしていない自分に焦る・・・そんな経験はありませんか。
私自身、仕事を辞め、家事や育児ばかりに追われる毎日の中で、この焦りを考えなかった日はありません。
育児中、子どもを見守る空白の一瞬に、どっと不安が押し寄せることもあります。
「何も生み出していない自分」
けれど、この何もしていない「精神の休養タイム」こそが「才能を育む最高の栄養剤」なのだそうです。
そういわれたら、焦らずもう少しゆっくりしようかなぁと思えてきます。
3.「夢を叶える」から逃げたいときの名言
「すべきことも大切な人も、探してはいけないのです」
~ピカソ
ピカソはこういいました。
「探すのではない、出会うのだ」
「べき思考」が強い私の心に、もっともグサッときた言葉です。
「夢を叶えねば!」
「人と出会わねば!」
そう力めば力むほど、創造性は失われ、夢から遠ざかっていく感覚・・・つい先日も感じたばっかりです(;´Д`)
ピカソのようにドーンと構え、「なるようになるだろう」と肩の力を抜いて過ごす方が、よい出会いに恵まれるのかもしれませんね。
まとめ
今日は、山口路子さんの『逃避の名言集』を紹介しました。
逃避には、決してよいイメージはありません。
しかし、強い感受性を持ち、ぎりぎりのところで必死に生きている人にとっては、逃避が「精神の防衛能力」として機能してくれます。
逃避の概念を大胆に塗り替える爽快感と、心がフワッと軽くなる名言の数々にひたすら励まされます。
繊細なあなたが人生に息切れしそうなときに、ふと手に取ってほしい1冊です☆
(^^)/