グレーゾーンなわたしたち

【ADHD夫を支える妻】はっさくのブログ。発達障害、HSP、メンタルトレーニング、教育に関するあれこれを発信中!

グレーゾーンなわたしたち

「発達障害に効く」は建前か〜教育現場のグレーゾーンな子どもたち①

こんにちは。【ADHD夫を支える妻】はっさくです。

今日登場するのは【ADHD夫を支える妻】ではなく、「教育者」としての私。

先日こんな決意をしました。

gray-zone-family.hatenablog.com

シリーズ【教育現場の『グレーゾーンな子どもたち』を語る】、今日からゆるっとスタートします! 

  • 教室の「中心」から「周辺」に追いやられた子どもたち
  • 「普通」という枠からはみ出た子どもたち
  •  白にも黒にもなりきれない「グレーゾーン」な子どもたち etc.

 学校をはじめ様々な教育現場で出会った「生きづらさ」を抱えた子どもたち(または私自身)の話をします。発達児やそうでない子も分け隔てなく、たくさんの子どもを紹介します☆

今日は学習塾勤務時代に出会った子どもの話です。

 

ある男児との出会い

 私が新卒で入社した会社は大手学習塾、配属先は個別指導部門でした。

私の勤務校は、私の他に上司(教室長)が勤務していました。

f:id:gray-zone-family:20201015144601j:plain

ある日、小さな男の子がお母さんと一緒に入会カウンセリングにやってきました。 

  • A君
  • 小学校2年生。
  • 落ち着きがない。
  • 文字がほとんど読めない。
  • 学校での勉強に全くついていけない。
  • 支援学級在籍
  • 発達障害(LD、ADHD等)あり

母の話を聞いている横で、入会資料に鉛筆でグルグルと落書きをするA君。

決まりに則って簡単な入会テストを実施するも、A君は解答用紙にグルグルと鉛筆で先ほどの落書きを続けていました。

「この後どう入会を断ろうか」

・・・私の頭はそのことでいっぱいでした。 

 

「発達障害に効く」と謳っているにもかかわらず・・・

「この子はムリだから。面談でやんわり入会拒否してね」

A君の入会カウンセリングの数時間前のこと。

入会面談の事前資料を渡されると同時に、教室長にそう言われました。 

f:id:gray-zone-family:20201015190712j:plain

発達児は問答無用で落とせということか??

どうして??話が違うのでは・・・??!

教室長の言葉に全く納得できない私は、激しい怒りがこみ上げてきました。

それもそのはず、私の勤務していた進学塾は、その看板商品のひとつに「発達障害に効く」という名目で打ち出された学習プログラムがありました。

映像教材にビジョントレーニングを取り入れたもので、発達障害や学習障害の子どもでも楽しく学習に向かえるというプログラムです。

A君が学習に向かえないことに悩むお母さんは、藁にもすがる思いでこのプログラムをA君に受けさせたいと足を運んでくれたのです。

「『発達障害に効く』というのは嘘なのですか」

そんな私に、教室長はこんな言葉を言いました。

「うちはただの学習塾ではなく進学塾だ。ライバル校も多い。 はじめから成績の伸びる見込みのない子どもは利益にならないから入会させない

キミも社会人なんだから本音と建て前をちゃんとわきまえなさい。

次期教室長候補だろ。

そんなことを続けて言われたような気がしますが、私の心はすでにそこにはありませんでした。 

 

「普通」という枠からはみ出た子どもに寄り添える教育者に

会社(進学塾)に勤務している以上、「教育者」であると同時に教室運営の「経営者」です。

進学塾らしく、テストでいかに点数を上げるか、模試でいかに偏差値をあげるか、いかに有名校に合格させるか・・・そのことを常に考えていなければなりません。

私も若かったのです。

「発達障害に効く」というのは、ライバルの進学塾との差異化をはかるための広告にすぎず、発達児に真摯に寄り添うというものではないのだ。

そのとき初めてそう悟りました。同時に「私はここにはいられない」と思いました。

私は「普通」という枠からはみ出た子どもに寄り添う教育者になりたい。

そのとき芽生えた強い思いは、塾を退職した後も、教師になっても、教壇を降りた今でも、ずっと醒めずに私の心に居続けています。それは「普通」になれなかった私自身の譲れない信念であり、人生の目標でもあります。

悔しかった記憶の中のたくさんの子どもたち。

寝ても覚めても忘れられない彼らとの出会いに、いつも感謝の気持ちでいっぱいです。

(^^)/

※全ての塾に発達障害児への入会足切りがあるわけではないと思います。これはあくまで一個人の体験談です。 

◆シリーズ「教育現場のグレーゾーンな子どもたち」◆