グレーゾーンなわたしたち

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【生産性の呪縛】から逃れる~差別と優生思想

こんにちは。【ADHD夫を支える妻】はっさくです。

突然ですが、忙しい毎日の中で不意にこんなプレッシャーを感じることはありませんか。

「常に生産的でなければならない」

今日は現代社会に蔓延する「生産性の呪縛」と差別について考えます。

 

「生産的でなければならない」という呪縛

日常の中で不意にある考えにとらわれることがあります。

「常に生産的でなければならない」

「効率的でなければならない」

「何かを成し遂げていなければならない」

生産性のない自分への焦りとでもいうのでしょうか。

仕事をしているときは常に感じていましたし、仕事を辞めた今でも、これらの考えにとらわれて落ち込むことがあります。

これは私の性格的な問題もあるとは思いますが、それだけではありません。

何かこう、もっと大きな存在からのプレッシャーを感じるのです。

現代社会に蔓延するこれらを「生産性の呪縛」と呼ぶことにします。

私に限らずこの「生産性の呪縛」に苦しむ人は社会の中に一定数いるのではないでしょうか。

「生産性の呪縛」と差別

これに関して、少し前にNHKのTV番組「ハートネットTV」を観ていてはっとさせられました。

「生産的でなければならない」というのは、裏を返せば「非生産的な存在には価値がない」ということになります。

そしてこれを突き詰めていけば優性思想にたどり着きます。

「生産性の呪縛」は、無自覚な「差別」や「排除」を生む恐れがあるのです。

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優性思想と障害者差別~ドイツの場合

優生思想とは、弱者を切り捨てることを是とするものです。

かつてドイツでは、優性思想にもとづいて、障害者や病人などの「生産性のない人々」に対する命の選別が行われていました。

『T4作戦』(1939ー1941)

  • 第2次世界大戦とほぼ同時に行われた障害者や難病患者などの極秘の殺害計画。
  • ヒトラー率いるナチスドイツにより推進。
  • 犠牲者約7万人。

ヒトラーはこの政策がもたらす死を「恵みの死」と呼びました。

障害者や病人など「生産性のない人々」を殺害することは、家族や社会の負担を減らす上で有効な手段であると考えたのです。

悲しいことに、優性思想の下でたくさんの一般市民が障害者の迫害に関わりました

《参考》ハートネットTV「優生思想と向き合う 戦時ドイツと現代の日本(2) 内なる差別と向き合う」2020/08/18放送

生産性と人の価値は関係あるのか

そもそも、生産性と人の価値は関係があるのでしょうか。

生産性のない人には生きる価値がないのでしょうか。

答えはNOです。

生産性と人の価値を結びつけることは間違いです。

そこには知らず知らずのうちに優性思想の種が存在しており、何かのきっかけでそれが萌芽したとき「差別」「排除」となります。

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T4作戦に反対したフォン・ガーレン司教の演説の中に、興味深い一節があります。

貧しい人、病人、非生産的な人、いて当たり前だ。私たちは他者から生産的であると認められたときだけ生きる権利があるというのか。

非生産的な市民を殺してもいいという原則ができ、実行されるならば、我々が老いて弱ったとき、我々も殺されるだろう。

(ハートネットTVより)

「生産性がない」ことを理由に特定の誰かを排除すれば、その思想は回り回って自らの首を締めることになる、これは鋭い指摘です。

差別や排除というものは、その対象を変化させ、形を変えることで存続し続けます。私たちにはこの連鎖をどこかで断ち切る責任があるのです。

「生産性の呪縛」から逃れる

ストレス社会に生きる私たちは、「生産性の呪縛」に無意識のうちに翻弄されていることがあります。これが強いかたちで他者へ向けられるとき、「差別」や「排除」と呼ばれるようになります。

本当に生産的な社会とは、「少ない労力で誰もが豊かに生活できる社会」のはずです。「非生産的な存在」を許容する豊かさと余裕のある社会。これこそが真に生産的な社会だと私は思います。

自分を追い込みすぎると他者に優しくできません。自分に鞭打つことが、まわりまわって他者への差別や排除に繋がる恐れがあります。

  • 「生産性の呪縛」を自覚すること。
  • その呪縛から逃れること。
  • 【非生産的な自分】を許すこと。

まずはここからはじめてみます。

 

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