グレーゾーンなわたしたち

【ADHD夫を支える妻】はっさくのブログ。発達障害、HSP、メンタルトレーニング、教育に関するあれこれを発信中!

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”弱者”ほど強くあらねばならない社会

こんばんは~はっさくです。

今日は脳がピリピリ、なんだかしんどい1日でした。
 
こういうときは明るいことを書けばいいのだけど、今日はちょっとシリアスな内容です。
 
私、つくづく思うのです。社会って不平等にできているなぁって。
私たちは今も、【”弱者”ほど強くあらねばならない社会】に生きているのです。
 
 

大阪で起きた信じられない事件

先月末に、大阪で信じられない事件が起こりました。
 
大阪市の市営住宅で知的障害などがある男性が自殺したことをめぐり、遺族が自治会の役員から「しょうがいがあります」「おかねのけいさんはできません」などと紙に書かされたのが原因だとして自治会や役員などに賠償を求める訴えを大阪地方裁判所に起こしました。
 
・・・男性は、去年11月、住民の間で当番の「班長」をくじ引きで決める際、知的障害や精神障害を理由に引き受けられないと伝えたところ、集会所で当時の自治会長や班長から「しょうがいがあります」、「おかねのけいさんはできません」などと紙に書かされたうえ、その紙をほかの住民に見せると言われたということです。
 
男性の書いた手紙は、全部ひらがなで書かれていました。
 
しょうがいか(※が)あります
○2500えんはしふうとうにいれれます
×おかねのけいさんはできません・・・
 
自殺した男性は、自分の障害のことを周囲に知られることが嫌で隠していたそうです。
 
また自治会側は、男性が紙に書いたことは認めたうえで、「強要はしていないし、ほかの住民の理解を得るために必要なことで嫌がらせではない」などと反論しているとのことです。
 

”弱者”ほど強くあらねばならないのか

障害者をはじめマイノリティは、社会的“弱者”と呼ばれることがあります(私はこの言葉があまり好きではないので、あえて“弱者”とさせていただきます)。
 
社会的”弱者”は、本来なら社会に守られるべき”弱い”存在のはずなのに・・・
 
男性はなぜ、自分の”弱さ”をここまで他人にさらけ出さなければならなかったのか。
なぜそこまでしないと社会に理解してもらえなかったのか。
 

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ぐちゃぐちゃの想いを言葉にできず、報道から半月以上経ってしまいました。
でもこのままにするのは嫌なので、せめてそれを言葉にしたいと思います。
 
この報道と同じ時期に、夫は銀行の窓口で、あることがきっかけで「自分はADHDである」とさらけ出すことになりました。どれだけ説明しても、言葉を尽くしても、それは相手に1ミリも届かず・・・夫は泣いて帰ってきました。
 
障害理解の歴史はまだまだ浅いから、相手に正しく理解してもらえるよう自己をさらけ出すのは大変です。
 
「自分は障害者だ」と誰かに打ち明けることは、生半可な気持ちでできることではなく、とても勇気のいることです。
理解してもらえない、傷つくかもしれない、そういう恐怖と常に隣り合わせだからです。
 
障害をよく「個性だ」っていう人がいますが、それは違います。なぜなら「私ってすごく暑がりなんだ」や「私って料理が好きなんだ」と、「私ってADHDなんだ」とは、どう考えても並列ではないし、重みが全然違うのです。
 
この男性だって「じぶんには障害がある」と打ち明けることに、どれほどの恐怖を感じていたか・・・。
 
つくづく思うのです。なぜ”弱者”だけが、自分の一番の”弱み”をこうやって人前でさらけ出さなければならないのか。
 
それは「マイノリティがマジョリティに正しく自己を理解してもらうため」なのかもしれません。でも、あまりに理不尽です。
 
マイノリティが権利を勝ち取るのはいつだって戦いです。彼らが人権を勝ち取って来た歴史の中には、常にたくさんの犠牲があります。
 
マイノリティは、”弱い”からこそ強くあらねばならない。
マイノリティが自己を正しく理解してもらい権利を勝ち取るためには、どんなことにも傷つかずへこたれない強靱さが必要なのかもしれません。
 
理不尽だけどそれが今の社会なのです。
 
でも、皆が皆強いわけでは決してなくて、自殺してしまった男性のように、夫のように、自分が保てず押しつぶされてしまう人だっています。
 

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”弱者”に関係なく、人は皆、本来は弱いのです。
 
”弱者”が“弱者”であるというだけで、多くの人々が傷ついてきた歴史を、また今もこうして理不尽に傷ついている人たちがいることを、どうか皆さんに知ってほしいです。
 
 
おしまい。
 
※夫が銀行手続きで「ADHDである」とさらけ出すことになった出来事はこちら↓

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