※過去記事を読みやすく加筆修正しました!
こんばんは。【ADHD夫を支える妻】はっさくです(^^)
今日は「重複する発達障害」をテーマにお届けします。
発達障害は100%オレンジジュースとはわけが違って、純粋なADHDもASDもほとんどいません。それはまるで、組み合わせ次第で無限の味が楽しめるミックスジュースみたいなものなのです。
1.発達障害はミックスジュース?!
私の夫はADHD(注意欠如・多動症)。でも正確にいえば、ADHDグレーゾーン、つまりADHDの傾向が比較的強い人で、100%のADHDではありません。
夫の中にはASD(自閉スペクトラム症)も少なからず存在しますが、ADHDの方が顕著だし、実際にはそのどちらも明確に診断されるに至っていないので、いろいろな意味で「グレーゾーン」であるといえます。
夫が発達診断を受けたきっかけは、「お金の手続きに関するうっかりミスが多い」など、日常生活における「不注意」に悩んでいたことです。
それだけ見たら夫は「ADHDの特性がある人」なのですが、最近の夫は自分の中にあるASDの特性を自覚し始めています。それは例えば、強い感覚過敏や言葉の厳密さ(言葉への強いこだわり)などです。
私自身もそうです。私の場合、日常的な困り感はASD由来のものが多いですが、最近では、私の中にも隠れたADHDの特性があると自覚しています。
そんな発達障害をジュースに例えたら・・・どうなると思いますか?おそらく100%オレンジジュースとは絶対にならないことでしょう。なぜなら純粋なADHDやASDの人なんて、実際にはほとんど存在しないからです。
発達障害の多くは重複例だといわれており、困り感も人それぞれです。それはまるで、組み合わせによって無限の味が広がるミックスジュースのようなものです。
2.発達障害は重複する
精神科医の本田秀夫さんはその著書の中で、「発達障害の重複」について繰り返し述べています。
私は、発達障害関連の問題で専門外来を訪れる人の多くは、重複例だと感じています。…ひとつの障害だけが存在し、そのための診療だけで対応できる例は、比較的少ない印象です。複数の障害特性も考慮した方が理解しやすい例が多いのです。
(本田秀夫『発達障害 生きづらさを抱える少数派の「種族」たち』SB新書、2018、P38)
医療機関で「ADHD」と診断された人であっても、実際はASDやLD(学習障害)を併発していることが多いとのこと。
それならば発達障害は重複するものとして、複合的にとらえた方が理解しやすいですよね。
3.診断名は環境によって変化する
また、発達障害が重複している場合、環境の変化によって「困り感」も変化します。
はじめ「ADHD」と診断された人も、環境が変わればASDやLDなどの側面が目立ってくることがあり、それにより診断名そのものが変化することもあります。
例えば夫は、転職してからというもの、職場におけるADHD的なストレスが激減したといいます。環境が変わったおかげで、前ほど注意力散漫に悩まされなくなったのです。
その代わり、今まで隠れていたASD由来の「こだわり」が出はじめて、現在はそのことに困り感を感じる場面が増えたそうです。
診断名を過信せず、あくまでそれは自分の一側面にすぎない、そうとらえた方が懸命です。
4.重複例は理解されづらい?!
本田さんはさらに、「発達障害の重複」が、発達障害の診断をより難しくしているといいます。具体的にはこうです。
発達障害の重複は「1+1」が2にならないことがあります。ASDとADHDが重なった場合に、どちらの特性も現れて「2」になるのではなく、複雑な現れ方をすることがあるのです。(同上、p42)
例えば、ADHDとの重複によってASD特有の「こだわり」が弱くなる(p53)など、一方の特性がもう一方の特性を見えにくくしてしまうことがあり、このことが診断を難しくしているのです。
したがって、ADHDともASDとも断定できない「グレーゾーン」の人の中には、複数の特性が重複していることにより困り感が見えにくく、それにより明確な診断名を付けられない人がかなり多くいるということです。
このことから、「グレーゾーン」だから困り感が軽いというわけではないということがおわかりいただけるかと思います*1。
5.まとめ~複合的な視点で困り感をとらえる
今日は、重複する発達障害についてお伝えしました。
発達障害の診断名ばかりにとらわれず、複合的な視点で、その人の困り感をとらえることが大切です。
夫や自分自身の特性についても、様々な視点から紐解いていく必要がありそうですね。
(^^)/